2013年07月22日

倫理の本の紹介

指導者(スーパーバイザー)を目指すみなさん、指導を実際にされているみなさんへ。

私はスーパービジョンについて、「カウンセラーの専門職としての成長とクライアントの福利を守るという2つを代表的なゴールとして教えています(キャリアカウンセリング協会のスーパーバイザー養成コースで教えている)。
その上で、専門職としての成長とクライアントの福利を守る=やってはいけないこと・やると望ましいこと、として、それが「倫理」に書かれていることもあり、スーパーバイザーは倫理を本気で勉強するようにアドバイスしています。
倫理には禁止型倫理と理想追求型倫理があり、その両面が混在して記載されています。そして、条文の抜け穴を見つけ、書かれてないからいいのではなく、その精神を理解し、クライアントのために自分を高めろ、と指導するのが大切。
カウンセラーが努力するのはクライアントへの支援の質を上げ、クライアントを幸せにする確率を高める為です。不幸にさせるのは言語道断。

禁止型倫理の代表が守秘義務と二重関係。
二重関係は上司としての役割とカウンセラーとしての役割等発生しやすいものですが、全てを禁止することはできないので、明確に禁止されているのはクライアントとの性的関係を禁止しているぐらいです(カウンセラーの資格はく奪等違反が一番多いのがこれ)。
他の二重関係は原則悪影響を理解し、自分が実施するリスクを把握し、インフォームドコンセントを徹底したうえで、でも可能な限り「避ける」。これは文章で渡したとかではなく、そのリスクが相手に本当に伝わっていなければダメです。クライアントの定義も今のクライアントだけでなく過去も含め、クライアントの関係者も含め、影響がある相手は含めて考える。

詳しく勉強したとしても検定試験にはほとんど出題されませんが、小手先のスキルを教えるのではなく専門職としてのスタンスを全人的に理解する上では重要だと思っています。

参考図書を紹介します。
「援助専門家のための倫理問題ワークブック 」
http://www.amazon.co.jp/%E6%8F%B4%E5%8A%A9%E5%B0%82%E9%96%80%E5%AE%B6%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%80%AB%E7%90%86%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%89-%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%83%AA%E3%83%BC/dp/4422112961/ref=sr_1_15?s=books&ie=UTF8&qid=1374425943&sr=1-15&keywords=%E5%80%AB%E7%90%86%E3%80%80%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%BC
「カウンセラー―専門家としての条件」
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%BC%E2%80%95%E5%B0%82%E9%96%80%E5%AE%B6%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E6%9D%A1%E4%BB%B6-%E9%87%91%E6%B2%A2-%E5%90%89%E5%B1%95/dp/4414401836/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1374426905&sr=1-2
「最新カウンセリング倫理ガイド」
http://www.amazon.co.jp/%E6%9C%80%E6%96%B0%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%80%AB%E7%90%86%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-%E6%B0%B4%E9%87%8E-%E4%BF%AE%E6%AC%A1%E9%83%8E/dp/4309243819/ref=sr_1_7?s=books&ie=UTF8&qid=1374425943&sr=1-7&keywords=%E5%80%AB%E7%90%86%E3%80%80%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%BC

ご参考まで。

倫理は絶対的な回答があるわけではなく、迷いながらより良い道を見つけるしかありません。

例えば私が直面した倫理問題は

1)私のカウンセリングや指導は非常に高価でお金を持った人しか受けれない=お金がないクライアントを排除することになり、その予算の中でどのようなカウンセリングが受けれるかを伝える事が倫理的行為(しかし、話の内容が分からないと紹介もできないし、信頼できるリファー先がないと無責任
→月に4時間だけ、30分ワンコインで面接を匿名で受けれるキャリアカウンセリングカフェに無償で協力(立上げ)つまり、自分でお金がない人向けのリファー先を作ったという事
→自分の過去の受講生がカウンセリングを受けるや、その時のクライアントがセミナーを受けにくる等二重関係が発生するリスクも発生
→受講生はできれば他の人に担当してもらうや、カウンセラーがカウンセリングに来た時には、極力セルフカウンセリングをサポートする形にし、影響を軽減化しているが、完璧には当然なれない。

2)企業から「社員には一切秘密で、と広報するが、会社は社員の親だから、内容は全部報告してくれ。他社は対応してくれている」と依頼有り=守秘義務・インフォームドコンセントの違反強要
→他社がやってもうち(当時リクルートです)は受けないと断り、個人情報ではなく来た人たちの全体傾向の報告でOKでなければやらないと提示(受注とれないのを覚悟しました)。
→先方が折れ、こちらの提案で実施(ただし他社に対し放置していいのかと言う倫理問題は残る)

3)勉強会等を主宰する場合に過去の受講生等に連絡すると販売者とカウンセラーエデュケーターの二重関係。
→私の講座の情報が欲しい人のみ登録してもらい情報配信。しかし、義理と人情で「出ないと嫌われるかも」と思う人がいる可能性はある。極力人生長いから無理しなくていいよと伝えてはいるつもりだが・・・

4)「いい人なんだけどイケメンじゃないのがねー」と言われる私でも、クライアントや受講生から「好きです」と言われることも(付き合うと二重関係。特に性的関係は禁止)
→感謝を伝えつつ、嬉しいけどそれは転移で、思い込みの可能性が強いこと説明。王道を歩きたいのでそういう関係にはなれないこと謝る(告白されなれないので一瞬舞い上がるが、冷静に考えるとそんな一目ぼれされるはずないこと気づく)
→倫理を破りたい気持ち(据え膳喰わぬは男の恥)と葛藤があるものの、最低でもまず1年(期間は団体によって差があるが精神的な最低限として。アメリカのアンケートでは2年以上間隔があけば7割が倫理的とみなしているデータがある。日本で過去のクライアントへの禁止期間は決まっていないが、あまり長いと守れないので守れそうな最初のゴールとして)はそういう性的な関係にはならない、と今すぐ口説くことを諦める(武士は食わねど高楊枝)と、けっこう冷静に対処できるようになる(タバコの禁断症状も**分我慢したら吸っていいとした方が衝動押さえやすいのと同じ効果か?)。何がそろえば転移ではないか、真の愛との見究めに迷う。
今をちゃんとデートせず、将来気持ちが続いているなら、という条件で数年待つほど想ってくれる女性は現実的にはほぼ居ないから、どうせすぐ忘れられてしまうだけなのだろうけれど・・・

5)再就職支援会社の依頼で、その会社のカウンセラーを全員カウンセリングしているが、中には過去の受講生もいれば、私の講座を受けたいという潜在受講生もいるし、その会社はカウンセリングの学習費用を9割会社負担しているので、私が主催する講座に勧誘すると儲かる(カウンセラーとトレーナーの二重関係。カウンセラーと興行主の二重関係)
→拠点単位で面談するので担当変更は業務効率上不可。二重関係を意識しつつ面談。主催講座への勧誘は行わない(私主催でないキャリア協議会の面談力強化講座等は本人の問題により教える)が、私のHPで無料で勉強する方法か、キャリア協議会の技能検定本を紹介するかで、意識して主催講座は紹介しない。

6)守秘義務を守るためには個室がよいが、個室に2人きりで入るのも信頼関係ない独立カウンセラー相手だと特に女性の場合不安が発生しそう(秘密とクライアントの不安とどちらを優先するか)
→キャリアカウンセリングカフェでは喫茶店を使うので密室で他人がいる安心感と秘密が漏れる不安と両方が発生。面談前に確認書でリスクを説明した上で、聞かれたくない内容は筆談等で行う。
→今のところオープンである障害は特に発生していないが、場を忘れてクライアントが話してしまい、それを他の客(大半がその時間はカウンセラーばかりだけど)聞いてしまうリスクは今でもある

7)メールで相談され、返事をしていると、次々教えてほしいと言ってくる人も(個別面談場所以外での接触を許可してしまうが故の依存性の問題。一方でメールアドレス知っている人に個別面談以外は返事をしないと見捨てられた気分にさせるので、そのバランス)
→依存を感じる時は、「依存させそうだからここからは自分で考えるように」と指示。ただし、お金を払わないと返事してもらえないんだと感じさせているリスクもある

8)鬱ではないと言ってはいるが、境界線で実際に就職に困っている人(どこまでメンタルの対応する力が自分にあるか、できないことはやらないという問題と、では断って誰ができるという問題のジレンマ)
→まず福岡で意識して努力したのが信頼できるメンタルの先生の開拓。「信頼できる」と思えるぐらいでないと、安心して紹介できない。とりあえず1人出会う事が出来たので一歩前進。このケースはいざとなればリファーするつもりで、危険な兆候がないか意識しながら実施。結果就職でき、ちゃんと働けている様子。

私でも日々迷いながらマシな方をと判断して進めています。
危ないものは断る、というスタンスもあるのですが、自分はセーフだけどそのクライアントはどこに行けばいいのか?例えば「自傷他害は守秘の例外でここでは秘密を守りませんよ」というインフォームドコンセントを書いていますが、だったら自殺や他人を害したいまで苦しんでいる人はどこに相談行けばいいのだろう、自分を守るだけで本当に苦しんでいるクライアントを守っていないのでは、とタラソフ裁判の結果に従うのが本当に良い事なのかまで迷いはあります。
ご参考まで
posted by キャリア研修センター浦安 by田中春秋 at 11:51| Comment(0) | TrackBack(0) | キャリアカウンセラー:必要な能力・知識・資格 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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