2011年04月14日

「カウンセラーで自宅開業」へのアドバイス

「キャリアカウンセラーとして自宅で個人相手に開業したいがどうすればいいかアドバイス欲しい」という相談を何件か受けましたので、ここで簡単にお返事したいと思います。

まず、「個人向けキャリア支援サービス」というテーマは私がリクルートでキャリア支援ビジネスの立ち上げを始めた2001年から気になっているテーマです。
日本ではカウンセリングが個人向けどころか企業向けでもほとんど(病気のケア以外では)立ち上がっていなかったので、カウンセリング大国のアメリカにもヒアリングに行きました。
一番参考になったのはキャリアディベロプメントサービス社(NPO)
http://www.careerdev.org/
全米対象に電話カウンセリングを一般(個人)に対しサービスしていたのでヒアリングにお伺いしました。ちなみに(電話)カウンセリングの値段は30分79ドル、60分119ドル、テスト+カウンセリング219ドル。
伺って教えていただいたのは「個人向けは理念としてやっていて、収益は企業向けでしかでていない」「地元の住民向けの個人向けカウンセリングもやっているが、地元民に対しては年収に応じた価格で実施」「企業からの従業員向けキャリア支援が収益の基本で、リストラとリテンションと丁度景気の波を両方で補う形になっている」等。
(所在地は五大湖に近い田舎でコダック社の城下町。1m近い雪が積もる中訪問した)

つまり、NPOでさえビジネス的には企業を押さえることが肝要だという事です。

では個人向けは本当にないか、と言われると、アメリカの大衆向けキャリア本の「what color is your parachute?」
http://www.amazon.co.jp/What-Color-Your-Parachute-2011/dp/158008270X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1302773754&sr=8-1
カウンセラーの選び方というコーナーがあり、実際本にリストが掲載されています。
シカゴで紹介されているのが2008年版で4つ程度。訪問しても、厳選されて本にも出ているカウンセラーのオフィスでも実に小規模(カウンセラー1〜2人レベル)で、あまり流行っている様子はありません。
イエローページでも探して、広告を出しているカウンセラーに会いに行ったのですが、そこも都会から随分離れた街で、自宅の一部をカウンセラーブースにしているような部屋。
でも、出てきたカウンセラーは(別に狙っていたにもかかわらず)NCDAでオンラインカウンセリングの委員をやっているような学者&カウンセラー。結構すごいブランドの人でした。

アメリカではカウンセリングを教えている大学教授もけっこう普通に企業や個人のカウンセリングをやっています。そういうブランドが立っている人たちは、自宅の一角でカウンセリングをやっていても何も問題ないようです。
先程紹介した「what color is your parachute?」のカウンセラーの選び方には
1) 友人に聞く(口コミ)
2) この本のリスト参考(社会的に認知される)
3) イエローページで探して質問する(料金への質問含め、本にはどう選ぶかのイメージが書いてあります)
と指導しています。
個人でやろうと思うならまずは口コミが取れるか?自分が支援した1人1人の満足を取れているかが最も重要です。

日本ではどうか?
上記インタビュー結果もあり、リクルートやキャリアカウンセリング協会では、個人向けキャリア支援サービスはメインビジネスとはせず、他で収益を安定させた後理念的なものとして限定的に実施するか、あるいは企業を満足させるカウンセラー育成の経験の場としては実施することにしました。
独立した後の私個人も同様です。個人向けはメニューには載せていますが、カウンセリングをやっているのも全額企業負担の大企業の社員が中心です。一方で、キャリアディベロップメントサービス社で学んだように、「理念として恵まれない人へも支援をしよう」と考え、ワンコインでカウンセリングを体験できるキャリアカウンセリングカフェ
http://sites.google.com/site/ccounselingcafe/
という形で月に1回4時間を、NPOエンジョイコミュニケーションズがやっているイベントに提供しています。

さて、そのキャリアカウンセリングカフェで感じたこと。
大学生は内定が取れなくて困っている。社会人も失業率高止まりで困っている。ニーズはすごくあるはず。
キャリアカウンセリングカフェ。Googleの無料HP枠でちょいちょいと作った手抜きの
訴求ページだけれど、いつの間にか「キャリアカウンセリング 福岡」で検索をすると、22.8万件もある中でトップページ(多分トップ3ぐらい)に掲示される(ネットの訴求はいつの間にか上がっている)。
それなのに、ネットで見てくる人はものすごく少ない。
キャリアで困っている人は「自分で探す」「投資を考える」「実際に動く」ということがうまくできないので、結果ネットで宣伝して個人向けに提供する方法は、安価であっても成立が難しいのです。

個人向けは無理か、と言われれば、私自身は大きな選択の時にはカウンセラーに相談したいと思っています。1人で考えるよりもプロの意見をもらった方がリスクを軽減できる。10万ぐらいのコストならチェックするだけでも十分価値がある。自分のニーズに合った支援してくれるなら100万円でも安いかな?そういえばリクルート時代、年収が3割減ってでも毎年1か月長期休暇が取れる仕事に変われるなら100万払っても高くないと思っていたのを思い出しました(要は休みたかった)。スキー場の食堂とか海の家のオーナーとかいいかなーとか思ってました。普通の斡旋会社はそんな条件さがしてくれません。
(今は独立して休みはコントロールできるので1か月の旅行も可能です。自由で幸せ)
私みたいな我が儘な人はだんだん増えてきていると思います。でも「情報にお金を払う」という考えの人はまだあまり多くありません。

真面目に個人向けキャリア支援サービスを独立してやりたい、という方には以下のアドバイスをします。

1) 顧客満足が取れることが全ての土台。まずは丁稚奉公でもよいので、どこかの組織のスタッフ(スポットでもOK)として力量を向上し、高い確率で満足(費用対満足の視点も必要)を取れるようになってから独立に踏み切る(それまでは我慢)。
2) 口コミが最大のツール。周りの人が有料サービスでも「**さんに相談するといいよ」と薦めてくれるような信頼関係を拡げておくこと。
3) 相談する人が気になることを自分は事前に伝えているか本気で考える。例えば自分が1万円/回の相談を有名な組織ではなく個人のカウンセラーにする場合に気になることは何だろうか?(料金?何回かかる?本当に役に立つ?どんな人?個室に監禁されないか?・・・何がクリアできて、どんな人になら相談しますか?)
4) リスクが小さな接点をまずは作る(知らない人に大きなお金を払う決意はつかないもの。まずはどんな人で、この人と1対1で相談するとどういう役に立ちそうかイメージさせることが重要。安価なセミナーや地域の講演会等で自分や自分のサービスを知ってもらうことが最初。
5) 個人を選んでもらうには差別化が必要。「安い」「質が高い」「メンタルに強い」「親切」「安心」「有名」「美人(美男)」「近い」「子供を連れていける」「来てくれる」「その世界(例えばマスコミとか)の専門家」等差別化の切り口は色々あるが、「安い」は危険な罠。安いと生活の為に数を実施しないといけない。数やらないといけないと1件ごとの満足度下がりがち。例え市場価格よりどんなに安くても、不満な面談に顧客は価値を感じない。
6) できないことはやらない。自分の限界とリファー先を準備する。満足しない人には費用を返すぐらいの気持ちの方が楽。費用以上の価値を必ず返せる、とカウンセラー自身が信じられないサービスを売るのは難しい。
7) 無理な投資をしない。事務所、事務員など大きな会社で働いていた人ほど見栄えを気にして最初から準備する傾向がある。貧すれば窮す。お金は追いかけると逃げる。
(どうせお金を使うなら、「見栄」ではなく、「質の向上」に使うことをお勧めします)

厳しい話を書きましたが、何かの参考になれば幸いです。
独立を目指される方、頑張ってください。
posted by キャリア研修センター浦安 by田中春秋 at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | よくある質問への回答 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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